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第30話 皮下

last update Petsa ng paglalathala: 2026-07-27 19:00:12

浴室の鏡に、それを見つけたのは半年前のことだ。

左肩に滲んだ、茶色い染み。指でこすっても消えない。よく見ると、線が不自然に折れ曲がっている。ひらがなの「じ」に、見えなく

もなかった。

気のせいだ、と思うことにした。

けれど体は、こちらの都合など聞いてくれない。気づけば二の腕に、胸に、うなじに──増えていた。数えるのをやめた頃には、もう身体中が薄い文字の下書きのようになっていた。

皮膚科では「アレルギーでしょう」と言われた。二軒目では「ストレス性の色素沈着」。三軒目の医者は、聴診器を当てながらこちらの目を見ずにこう言った。「痣に文字が見えるというのは、よくあることです。人間の目は、意味を探してしまう生き物なので」

そう言われて、少し安心した自分が悔しかった。

夜、電気を消した部屋で、体中の文字を紙に書き写す作業だけが習慣になった。順番はわからない。意味もわからない。ただ、増え続ける文字
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